中国鉄道旅行記2020 1・2日目
中国滞在の最後に、半月以上掛けて、念願の中国鉄道旅行をすることにした。
語学が好きで学習した中国国内の各言語を現地に行って使いたいということで、まずは各言語・方言が使用されている地域を目的地とした。これで上海(上海語)・広州(広東語)・ラサ(チベット語)・ウルムチ(ウイグル語)が決まるので、丁度中国一周が出来る。台湾語(閩南語)も学習したのだが、閩南語は方言差が大きく、福建省に行ったところで恐らく使えないので、今回はパス。
後は可能な限り道中の各省で1回は下車してどこかに行くと決めたら、半月はすぐ埋まってしまった。本当なら全ての省で、宿泊は日数的に不可能だとしても下車くらいはしたかったところだが、無理だった。中国は広い。
時期は2020年1月。出発前、行程を組んだり切符の予約をしていた頃、コロナウイルスの状況はどうだったかといえば、武漢で何やら新種のウイルスが発見されたらしいぞと、周囲の日本人がざわざわしていた程度だった。私の滞在していた北京は何の影響も無かったし、恐らく日本では「コロナウイルス」という名も流布していなかった。旅程の後半になると、感染者の出た地域が増え、観光地に行っても閉鎖されている場所が多くなった。とはいえ、コロナからぎりぎり逃げつつ最後まで旅を楽しめたし、1月末にぎりぎりで帰国した。上手いこと逃げ果せたものだ。
2020年1月8日(1日目)
武漢の新種のウイルスなんかどうでもいい。そんなことより、5日に大学の食堂でノロウイルスが出て、無事に罹患した。中国に数ヶ月居て一度も食事で体調を崩したことが無かったので、若干心配してたけど全然問題ねーじゃんwと思ってたら、旅行直前に中った。腹が痛い。辛い。出発の8日までに2回寝るし治ってくれ~~と祈念しながら風邪薬を服用していた。風邪薬しか持ってきてなかったので。
旅行1日目。腹痛は治まったので、景色も見られず列車内の汚いトイレに籠もるという最悪の事態は回避。しかし若干体が重い。これからチベットへ行くのに大丈夫だろうか。まあチベットで死ぬのもご利益ありそうだから、それはそれでいいかもしれない……
北京西駅ではチベット自治区へ行くための青蔵線(青蔵鉄道)の切符を発券。敢えてチベット入境許可証を出さずにスマホの予約画面とパスポートを出したところ、購入出来ないと言われた。やっぱり駄目なのか。
許可証を出すと、隣の窓口や裏の人を呼んで書類を確認したり帳簿を付けたり、窓口を暂时停止にしたりして、10分くらい掛かってようやく発券。まるでみどりの窓口で切符厄介したときのようだ。
記念すべき1本目の列車は、北京西13:05発のT175 特快 西寧行き。硬座で206元(約3,296円)。中国の鉄道は日本の鉄道より遥かに安いのだが(例えば北京西~西寧間の1,785kmをJR本州3社幹線運賃表に当て嵌めると、運賃だけで18,700円)、とはいえ寝台車にすると金額が2倍近くになってしまうため、相変わらず体力を削って出費を切り詰める思考が働き、ラサへ行く1本を除いて全て硬座にした。夜行の長距離列車でボックスシートとかいうのは最早日本では経験出来ないので、敢えて硬座にしたというのも勿論ある。しかし病み上がりには辛い。
2020年1月9日(2日目)
定刻では西寧10:36着のところ、約5分早着。青海省の省都・西寧の街歩きもしたかったので、上手いこと西寧で時間が空くよう旅程を立ててある。というわけで、14:01発のラサ行きまで3時間半の散歩。
東関清真大寺。青海省最大のイスラム教寺院で、明代の1380年創建(『地球の歩き方』より)。関係者の方には申し訳無いが、中国の国旗とスローガンで固められたイスラム教寺院を見てみたかったので満足。
屋台で蒸したじゃが芋を購入。美味しい。
まさか西寧の露店で寿司が売っているとは。思わず購入してしまった。15元(約240円)なので、物価を考えるとちょっと高めか。味音痴の私の感覚では美味しかった。
西寧の路線バス。
西寧駅に戻って、いよいよ青蔵線でチベットへ。
チベット自治区と新疆ウイグル自治区に接しているからか、駅の警備はかなり厳しく、駅入場時の検査では上着も脱がされた。切符と入境許可証も、駅入場時と列車乗車時の2回確認された。連携が取れていないだけかもしれないが。
隣の区画ではチベット人らしき青年達が騒いでいた。しかし、チベット語を齧ったにもかかわらず一つの単語も聞き取れない。もしやチベット語ではないのか……? と悩んでいたら結局声を掛けられずに終わった。こういうところでコミュニケーション能力不足を遺憾無く発揮するのは非常に勿体無いので、大いに反省してほしい。
青海湖だ!
うおおおおヤクが居る!!!!!
うおおおお羊も居る!!!!!
ゴルムド~ラサ間延伸の際に西寧~ゴルムド間でも線形改良をしたのか、現在の線路に沿って廃線跡らしきものが続く。
基本的には硬座で予約したが、1回くらい寝台車に乗りたい&チベットへ入る前に体調を整えたいということで、今回の旅程で唯一の硬臥。
明日からは早速チベット自治区のラサ。